医師法違反!
外出自粛によってエステサロンの業界は大打撃を受けています。
市場規模は4,000億円に迫ろうかという規模だったので、この経済的損失はかなりのものといえます。
ただ、脱毛に関してていうと、トラブルと隣り合わせだったこともあり、それが緊急事態宣言により皆無になったともいえます。
少し古いデータですが、国民関克センターによると、2010~14年度の5年間でエステ業界全体では4万件近い相談があり、その中で脱毛については年200件平均だったそうです。
その相談内容は、やけどや皮膚トラブルが中心で、医師法や薬機法違反で摘発されたケースもあります。
脱毛サロン業界では、光を皮膚の表面に照射する施術が中心になっています。皮膚の下の毛包に光を当て、脱毛する「光脱毛」です。
この「光脱毛」については、一般の人は知らないかもしれませんが、過去に通達が出されていました。
2001年11月8日、厚生労働省医政局医事課長名で各都道府県衛生主管部局長宛の通達でした。
この通達のタイトルは、「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(医政医発第105号)です。
最初の一文は「最近、医師免許を有しない者が行った脱毛行為等が原因となって身体に被害を受けたという事例が報告されており、保健衛生上看過し得ない状況となっている」で、「国民への危害発生を未然に防止すために」通達したものとなっています。
具体的な内容としては以下のように記されていました。
「以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」
(1) 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
(2) 針先に色素を付けながら、皮 膚の表面に墨等の色素を入れる行為
(3) 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為
この通達は、脱毛サロン業界に衝撃を与えました。
しかも、この通達以降、脱毛サロンが医師法違反容疑で摘発されることが相次いだのです。
さらに問題を難しくしているのが、サロンで使う光脱毛機器の位置づけです。
医療機器なのか、美容機器なのか?
当然ながら医療機器であれば、使用できるのは医師になりますが、美容機器ならばそのようなことにはなりません。
脱毛サロンとしては、美容機器と主張しています。
その根拠としては、医療機器のような出力に及ばず、毛根を破壊しない程度に出力であるがゆえに、医師法に抵触しないとしています。
医師からすれば、そもそも照射する光線にはリスクの伴うだけのエネルギーが有していることから、出力の問題ではなく、その行為そのものがすでに医療行為だとしています。
厚労省通達にも「機器が医療用であるか否かを問わず」となっていますので、医師法違反になるという考えになります。
どちらが正しいのでしょうか?
実はこれこそがグレーゾーンなのでしょう。
だからこそ、脱毛トラブルに注意しましょう!